第2回 勉強会レポート

2回勉強会レポート

2009年6月6日(土)TKP大阪梅田ビジネスセンターにて、「大阪DTPの勉強部屋」の第2回勉強会が開催された。

内容はSession 1としてWORK STATIONえむの宮地知さんによる「DTP作業はIllustratorか、InDesignかどちらが便利?」、Session 2としてInDesignの勉強部屋のYUJIさんによる「InDesignの使いこなし術2」、Session 3としてスクリプトノートのたけうちとおるさんによる「DTP作業を楽にするスクリプト入門」の三部構成で進行した。参加者が100名を超えたにも拘わらず定刻には満席の状況で、活気に満ちた勉強会となった。

Session 1:DTP作業はIllustratorか、InDesignかどちらが便利?

スピーカー:宮地知氏(WORKSTATIONえむ)

Session 1ではInDesignとIllustratorの違いを具体的に比較して、解説していただいた。

まずテキスト入力、文字組み、スタイル指定、写真の扱い、白フチ文字について比較検討された。

大きな違いとして、データ結合と表組みを上げて解説した。どちらもInDesingにしかない機能である。特にデータ結合については、エクセルでの写真名の指定方法から、テキスト書き出しの注意点や実際のデザインとデータの関連付け、プレビューによるチェック、複数レコードの割付、画像配置の設定、元データ変更時の更新、元データでの注意点など実務に即した丁寧な実演が行われた。これなら明日から実践に使えるのではないだろうか。

InDesignの表組み機能はあまりに簡単便利ということで、普段Illustratorを使っている人でも使えるワザとしてInDesignで作表して、PDFに書き出しIllustratorで開くというやり方を実演してくれた。

両者が決定的に違うのがパッケージ機能という。出稿にあたって貼り付けた写真などを一まとめにする機能だがこれもIllustratorにはない。作業上のトラブルをなくすためには必要な機能だ。

最後にInDesignが何百ページものページものを作るレイアウトソフトとして進化してきた点を指摘。その過程で大量の作業を効率よくこなすための機能がどんどん充実してきており、その代表的な例として検索置換機能の充実を挙げた。後々の訂正にも効率よく対処できる仕組みが備わっている。

以上のことから組むのはInDesignを主としてIllustratorは部品作りと役割を分担することがぺら物であっても望ましい姿ではないかと締めくくった。

Session 2:InDesignの使いこなしPart 2

スピーカー:YUJI氏(InDesignの勉強部屋)

Session 2では前回に引き続いて、はるばる名古屋からInDesignの勉強部屋のYUJI氏に来ていただいて、InDesignの必須テクニックを教えていただいた。今回は特に文字組指定に必須の文字詰め機能を中心に、文字組みアキ量設定、コンポーザ、禁則調整方式、ハイフネーション処理についてスッキリと説明されていたのが印象的であった。

まず、文字詰めでは、均等、プロポーショナル、手作業のそれぞれの文字詰めについて考え方と実際の動作を

均等処理では文字送り(トラッキング)、フレームグリッド、文字組セット、ジャスティファイのそれぞれの機能を使った均等詰め取り上げた。

もっともお勧めなのは、フレームグリッドを使った文字送りで、この場合は欧文の文字間は変化しない。

プロポーショナルな詰めでは、InDesignが最適な間隔を探し出すオプティカル、オープンタイプフォントがもっている詰め情報を利用するメトリックス、さらに加えて特定の文字同士のペアカーニングの例を紹介していただいた。

文字組みアキ量設定は使いこなせばかなり複雑な文字組み規則を適用させることができそうだが、実際に使いこなすにはよくわからない。例えばデフォルトでは14の文字組みの設定がされているが、どれを選んでよいかわからないのだ。YUJI氏は、これらの設定が4つの文字組み設定と3つの段落1字下げの組み合わせであることをわかりやすく図示してくれた。顧客個別の文字組みに対応するには、この4つの文字組みを基本としつつ、19の文字種間の文字間の設定を行えばよい。

コンポーザには単数行コンポーザと段落コンポーザがあり、段落コンポーザがデフォルト設定されているが、訂正があったときに変更した文字の詰めの変化の影響で、それ以前の行の改行位置が変わる場合があり、厳しいお客さんが多い印刷会社さんの場合は、単数行コンポーザを利用したほうが安全だという。

意外と気が付きにくい点として、欧文段落の場合の対応がある。欧文段落については欧文段落コンポーザや言語指定が必要なケースがあり、どの場合にどうすればよいか、ハイフネーションも含めて勉強になった。

もっとも基本的な文字詰めだが、「考え方」を基本に、シンプルでわかりやすい場合わけをして説明してもらったので、マニュアルの記載が詳細すぎてなかなか全体像を把握しにくかったオペレータの方々にとってもレベルアップの実感を得られたのではないだろうか。

Session 3:DTP作業を楽にするスクリプト入門

スピーカー:たけうちとおる氏(たけうちとおるのスクリプトノート

Session 3では日頃、なかなか実際に使う機会がないスクリプトをたっぷり紹介していただいた。たけうちさんはQuarkXPress3.3のころから「楽進」など作業の自動化に役に立つスクリプトを印刷業界に提供していたことでも有名でご存知の方も多かったのではないだろうか。

この日のために新たに開発したInDesign、Illustratorのスクリプト40個を紹介していただくとともに、スクリプトの作成、変更方法についても説明いただいた。

今回開発していただいたスクリプトは「たけうちとおるのスクリプトノート」からダウンロードできる。各スクリプトには説明記事が書かれているので、一つずつ試していける。

InDesignのスクリプトでは、ルビ支援、検索置換、再リンク、PDF配置、キャプション、選択画像を個別に変形、繰り返し複製、表、部分角版といったスクリプトを紹介してくれた。

「ルビ支援」では、モノルビとグループルビの相互変換、一定の書式で書かれたデータのルビ振りを紹介してもらった。「検索置換」ではカッコでかこまれた数字を丸数字に変換してくれるなど、正規表現を使った変換でも面倒な指定が必要だった作業を手軽に実現している。

画像の再リンクでは拡張子が違うファイルを一気に再リンクできる。今まではEPSを使ってきたが、最近の傾向でフォトショップのPSDを使うよう変更があった場合に超便利である。

「繰り返し複製」を使うと縦横両方向、すなわち2次元の複製ができる。標準では縦横どちらから一方だったのでこれは便利である。

この繰り返し複製を応用した「訂正シール専用スクリプト」も作られていた。このスクリプトのよい点はカットしやすいようにトンボを書き出せるようになっていることだ。これには会場からも納得のどよめきがあった。皆さん苦労されているようだ。

Illustratorについても選択範囲、複製、部分角版、保存、トンボ、Mapデータに関するユニークなスクリプトを紹介してもらった。

「Mapデータ」の例ではインターネット上からダウンロードした数値地図の情報を読み込み地区別にカラーわけする例を見せていただいた。スクリプトを使うと手作業を自動化するだけでなく、顧客の幅広い要求に答えられる可能性がある。特に地図情報はデータベースと組み合わせると自治体などへの営業力強化につながるのではないか。

数値地図のデータは公的に公開されたデータであるから、広い応用範囲が期待できるワザである。最後に大阪DTP勉強部屋で要望があったスクリプトについても説明していただいた。

Report:馬場幹彦

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